AZURE

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誰より強く、何よりも弱いきみに優しいキスを-----


1:目が合って、堕ちた

空は青くどこまでも突き抜けていてムジカは手を伸ばしてみた
少し離れた場所にいるハルやエリー達の談笑が辺りに楽しげなムードを作っている
ムジカはその様子をじ、と見つめ頭の中に彷彿された何かを思った。

「ムジカーー!」

遠くからでも誰と判る程の大声で自分の名を呼ぶ声がして
落ちていっていた思考が浮上してゆく

「んだよ、ハル」
「あ、そんなとこ居たのか」

バタバタと落ち着き無く駆けて来る彼にムジカはフ、と口元を緩めた

「こけんなよ」
「俺運動神経いいっつーの」

俺の軽口にハルがニカと笑って俺の元までやってきた。
年で言えば2つしか離れてないのになんでこうもコイツは子供のままなのか
それに呆れと共に少なからず憧憬を抱いている事をムジカは気付いていた

「なー、ムジカ、ちょっと手伝ってほしいんだけど」

そう言ってハルが取り出したのは父親とおそろいだというネックレス
しかしそのペンダントの一部がポッキリと折れてしまっているように見えた

「コレ、大事なモノなんだけど、折れちゃってさ ムジカ直してくれない?」
「すぐ直してやるよ」

ハルは眉を下げて酷く悲しそうな顔をする、感情が剥き出しの子供
バカだな、お前は。だから俺がつけ込むんだよ、俺は悪人だから
銀術を使って割れてしまった部品と本体を変形させてまた成形する。

「ハイ、直ったぜ」
「おお!すげえ!」

俺の手からネックレスを受け取ったハルがそれを握り締めて目を輝かす。

「ムジカ、ありがとう」

またニカと打算のない笑顔を向けられる。

「お礼は、キスな」
「・・・・何言って・・・?」

その言葉を奪うようにキスを仕掛ける。
むかつくし、憧れる
そうやって真っ直ぐに見つめてくる目が、ハルが

「んぅ・・!!」

苦しげに眉が顰められて訴えるように目を開いた。
クソ、子供みたいな顔してこんな時だけ色を帯びた目しやがる
むかつく、むかつく、こんなに恋焦がれてる自分にむかつく
嫉妬してる自分にむかつく

「好きだ、ハル」

願うように彼の瞼に唇を寄せた
伝えればきっと今だけでも俺を見てくれるだろう?
その目に映すのが、俺だけならいいのに


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初ムジハルなんです、実はw
こっちも1お題で一つの話になる予定
ムジカはハルに何処か自分が無くした何かを見てればいいな
と勝手に思っております
そして自分もまだまだ子供だと自覚してないと可愛いです






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たいしたことないもの