AZURE

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fragile love-----


2:踏み締めたもの、目を逸らしたもの、見えなかったもの


頭が、割れそうだ

ジークハルトは脳梗塞でも起こしたのでは無いか、と疑いたくなるほど
の激痛を訴える頭を抱えていた。

『さぁ、俺を殺してみろ』

シュダの言葉がまるで強迫観念となってジークを苛み続ける。
本当はもう解ってる。何がこんなにも自分を悩ますのか
どうしてあの言葉がこんなにも狂わすのか

(ヤバイ・・・)

まるで地面がトランポリンにでもなってしまったかのように足元がグラつく
確かに地面を踏み締めているはずの脚が全く感覚を伝えてこない。

グラリ、と傾いた視界にジークハルトは受身の態勢をとる事すら出来ず
に体は地面に叩きつけられる・・・・・、はずだった。

「おい、大丈夫か」

来る筈だった衝撃は何時まで経っても襲ってくる事は無く、
ジークハルトは定まらない視点で後ろを振り返った。

「シュダ・・・・か?」

どうやらシュダが俺の体を支えてくれたらしい、
ジークハルトはその腕を振り払おうと肩を掴む手を押し返した。

「大丈夫だ・・・・放して・・・くれ」

ぐらぐらする視点のせいで気持ち悪さは倍増。
それでも縋る事など己のプライドが許さず、
ジークハルトはその腕を拒絶した。

「ふん、そんな死人みたいな顔色してよく言えたものだな」

いや、死人の方がまだましな顔色をしている、
シュダが嘲笑してジークハルトの腕を逆に掴んだ。

「少し大人しくしていろ」
「な・・・に・・?」

ジークハルトの言葉が紡ぎ終わるよりも先に体がふわり、と持ち上げられた。
余りに突然の事にジークハルトは声を上げる事すら出来ない

「部屋で休んでいろ」

何という事だ、
こんなにも情けなくて、悔しくて、羞恥まみれの喜びというものが在るか

「す・・・・まない」
「ふん、殊勝な事を言うな」

シュダの腕に抱えられながらジークハルトは少なからず、
確かに安堵していた。



「暫く寝ていろ」
「ああ・・・」

シュダの手が意外にも繊細にジークハルトに触れる。
あまりにもその手が優しくて今度は拒絶する事が出来ない、


「なぁ、少しは俺の事考えてくれたか?」


少し、なんてものじゃない。
もし自分が健康体であったならばそう怒鳴りつけてやりたい位だ。
ジークハルトはギリ、と奥歯を噛み締めた。
こんなにも俺が病んだのは、お前の所為だ

「シュダ・・・、卑怯だ」
「何がだ」

あんな言葉を向けたのも
俺に優しくしたことも
こんな風に触れることも
全部、全部、卑怯だ。

「すまない、直ぐに医療班を呼んで来る」

パタン、とドアが閉まる音がして、部屋には静寂が訪れた。

確かに存在していた思いを踏み締めさせて、
目を逸らしていたあんたの思いにも目を向けさせて、

くそ、見えなかったものが見えてくる

『さぁ、俺を殺してみろ』

本当は、気付いてる
どうしてあの時答えられなかったなんて解ってる

「好きだなんて・・・言える訳が無い」

認めてしまえば、こんなにも苦しいじゃないか


************
大分、ジークが女々しい感じに・・ww
きっともう互いに互いが好きなことに気付いてるんです。
でもああ、ジレンマ。自分のプライドと恋に
シュダは割りともう認めちゃってる感モリモリです。






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たいしたことないもの